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ジュラルの作戦再考 ~ ジュラル星人って回りくどいの? ~

※この記事はCha-KEN Advent Calendar 2019に参加しています。

さまざまな方が超傑作科学冒険キチガイアニメ『チャージマン研!』に関するおもしろ記事を執筆なさっておりますのでぜひとも他の記事を御覧ください。この記事は別にいいです。

cha-ken.com

 

 

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現代語訳:そーいえばさ、チャージマン研にでてくるジュラル星人って「回りくどい」ってよく言われるけど、実際ジュラル星人はどこまで回りくどいのか言われてみればよく分かんないよね!だからジュラル星人の作戦を全話ぶん見て検証しながら奴らがどれくらい回りくどいのかを考察してみよう!のコーナー。

 

 

 

さっそく全話を見なおす

そして、各話の作戦内容を一つ一つ書き出してみよう。そこからだ。

懐かしい気分だぜ。あれは台風の日だったか、久々の休校になったので貴重な時間を使って初めてチャー研を全話イッキ見したのだった。場所は伏す。

その時はまだチャー研のイメージなんてキチガイレコードとウワァーって落ちてく可愛そうなジジイとかそんなもんだったが、一通り見ていくと意外にもバリエーションに富んだ敵の作戦、そしてそれを真正面からブチ砕いていくチャージマンのパワーに魅了されたのであった。半分うそ。

話が脱線してしまったので元に戻す。今回の検証では作戦内容の他、以下のような基準でまとめていく。

  • 作戦対象:本作におけるジュラル星人の作戦は、「地球人や地球の施設を標的とした侵略・破壊工作などの作戦」「泉研やその身内を主な標的とした作戦」の2つにおよそ分類できる。前者については以下のような項目も纏めた。
  • 作戦規模:一人、十人、百人といったスケールで分類する。実際に成功すればどのくらいの人間が死ぬか、被害を受けるかという大体の予測。筆者の感覚を元に適当に決めている。
  • 実被害:実際に被害が出たかどうか。ちなみに大体は研が先にジュラルを倒して被害0で食い止めるか、出動する時点で既に被害が出ている(大抵大規模)かのどっちかである。

 

えー、こちらのシートを見ていただきたい。

docs.google.com

これは上記の基準に従ってチャー研全話におけるジュラルの作戦内容を纏めたスプレッドシートです。随分と細かいでしょう?

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いや、そんなはずは無いね!

 

「回りくどい」ってなんだ?

検証に入る前に、「回りくどい」と言われるのはなぜか、何を以て「回りくどい」と評されるのかについて考察してみる。

www.weblio.jp

ジュラル星人の目的は「地球人を滅亡させ、地球をジュラル星人のものとする」こと。とくに地球人を滅ぼすという点については「一人でも多くの人間が死ぬのが俺たちの望みだ!」(33話)というセリフと、本当に一人の人間を殺すことに躍起になる姿からも見て取れる。

しかし。「そういった大層な目標に対して、各話で描かれる作戦がしょぼすぎる」というというイメージが視聴者間でなんとなくあるようで、例えばその33話がまさにしょぼい作戦の一つと言われる。だってそのへんの一般人相手に数人がかりで死ね!と言うだけだし。

でもそのイメージは正しいのか?ということをまずは作戦の規模という面から検証してみよう。

割とピンキリな計画の数々

例のシートを見ていただければ分かるが、ジュラルの作戦には数万人以上の被害が出ると推定されるものが結構ある。その多くは空港や油田、コンビナート工場などの資源・インフラに関連する施設であり、実際にそうした施設が(大抵一瞬で)爆破される描写もいくつも存在している。

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即落ち2コマ (22話)

研以外が標的となった回は全体の約半数であるが、そのうち10話ほどで大規模な被害を出している(シート上で赤字とした)。残りはそれ以下の規模、もしくは未遂に終わった作戦である。

また、重要施設以外であれば、海底都市やコンサート会場や遊園地などの比較的大量に人間が集まる場所を標的としていることが多い。しかしこちらについてはあまり成功例がない。

少し興味深いのが「蝶の大群が舞う」(3話)や「殺人レコード 恐怖のメロディ」(16話)のような特殊兵器を用いて都市部広域に対する無差別攻撃を行う回は中盤以降減少し、特定の施設やイベントを狙った作戦がほとんどを占めるようになる点だ。たとえばキチレコ回は「回りくどい」作戦の代表例として挙げられる筆頭である。しかし作戦の規模自体は全体的に見てみるとかなり広い部類だ。

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もっとも壮大な計画は地球人の発案である(第23話)

しかし回を追うと逆に爆弾を仕掛けたり放火を行ったりと手口がより直接的な物に切り替わる一方で、起こりうる被害の規模はむしろ縮小しているような印象も受ける。ただ、前述したとおりその対象となるのは人的被害は少ないかも知れないが機能停止すれば市民は混乱に陥るような施設、あるいは科学者や軍部など国にとって重要な人物が集まる場所であり、ジュラルの戦略が「なるべく多くの人間を殺せるよう都市部を無差別攻撃する」から「重要施設や重要人物を優先的に攻撃する」方向にシフトしていったのではないかと考えられる。

 

敵はチャージマンただ一人

一方で、「チャージマンa.k.a.泉研及びその身内を標的とした作戦」については、見返してみると確かにカオスだったのでこちらについても見ていこうと思う

 ジュラル星人と研は第1話の時点ではまだ初対面に見えなくもない感じだが、第2話の時点で既に自宅の所在がバレており、さらに「光がなければ変装できない」というあってないような弱点まで知っている。(研は研で「今日こそあいつらをやっつけられるチャンスじゃないか」とまで言っている)アニメの構成としては微妙に感じられるかもしれないが、ひとまず本編の早い段階ですでに研を脅威として見ていた、として考えてみる。

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かわいい(第10話)

ジュラル星人といえばやっぱりハニートラップでしょう。第10話での魔王様直々の色仕掛けは見事成功し、(おじいさんロボット除く)一家を捕らえるところまで行っています。しかしそのイメージに反して、単純にハニートラップを仕掛けた回はそんなに多くはありません。いずれもそこそこの成果を上げているとはいえ。

こちらも回を追う毎に傾向に変化が見られており、27話あたりから研の家族を洗脳して手駒とする作戦がよく見られるようになる。

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何で非力そうな奴にまかせたんだろうな(第45話)

しかしもっと強烈な傾向として、50話以降の末期におけるかなりぶっ飛んだ泉研抹殺計画の数々の存在がある。ざっと並べてみると「乗馬クラブの馬を暴走させる」「サーカス団の猛獣を研相手にけしかける」「ボクサーとリング上で戦わせる」と、まさに「回りくどい」のイメージを体現したかのようなヤバい作戦の応酬である。

興味深いのは58話における描写。大勢の聴衆が見に来ている状況で、そのまま獣を放てば研以外にも何人か殺せそうな状況なのに、他の観客があらかた逃げた後にわざわざ研だけを呼び止めるという行動に出ていた。「一人でも多くの人間が死ぬことが望み」と言ったのにも関わらずである。

ここでジュラルが研を早々に脅威認定していたという説を振り返ってみるが、後半につれての傾向と照らし合わせると、チャージマンの戦闘力が圧倒的であり正面衝突ではまず勝てないという認識が強まってきた上で、より直接的な戦闘を避けた作戦を選ぶようになったとも言える。

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変装させなければただのガキだ!なお(63話)

ここまでのまとめ

  • ジュラル星人の作戦は時期によって傾向がある
  • 大規模な手段が回りくどい作戦から、小規模な目的が回りくどい作戦への変化
  • 研に対する意識の変化が作戦の変化を生み出した?

結果論としてジュラル星人は回りくどい奴らだというのは確かかもしれないが、作品全体を通して見るとそのようになった理由が説明できるかもしれない、というのがここでの結論である。

終盤にもなって「気にするな!」とか言ってる時点で「研に対する意識」なんて考えるほうがバカバカしい訳だけど。

実際、全話マラソンを改めて決行する前はこのように時期ごとの傾向があるとはそんなに考えておらず、それなりにアホな作戦を行っている回がバラけているものだと感じていた。それでもこのような発見ができるあたり、まだまだこのアニメも考察のしがいが残っているのだと感じた。

そして、これを読んでいる皆様にもぜひともチャー研全話を改めて見直してほしい。もう散々見尽くしたという方々もおられるだろうが、だって忘れた頃にもう一度見てみると変な発見があって面白いじゃん、ほら例えばナオコが記憶喪失だったのか結局あやふやだってこととか、ニセ友情作戦では研は相手の名前すら聞いてないこととかさ……

 

 

「待て!」

き…着様は!

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くそう、地球人にチャー研全話視聴を強制させれば、みんな仕事ができなくなり地球は大混乱に陥ったはずなのに!

「それ!」

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(↑筆者)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                           ξ

 

 

 

 

 

 

 

 

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