オールスター・ダストボックス

成長するもの、生きるもの

昔と今のカオスバトルを見比べてみる記事(前編)

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うごメモ」それは青春…なんて爽やかなものではなかったが、自分(他一部のネットユーザー)にとっては笑いと驚きの宝庫であった。

数多くの作者が、名作アニメのキャラクターと飲食チェーンのマスコットを戦わせたり、あるいは初めて聞くような曲にアニメのセリフをあてがったりとその頃の自分にとっては真新しい作品の形であり、毎日Wi-Fiコネクションに接続してはカオスなメモを探し回ったものだ。

 

そんなうごメモに「カオスバトル」というシリーズがあった。当時のうごメモでは最大勢力の一つといっても過言ではないほどの作品数があり、ネタ系・キャラクター系作品のメインストリームであった。

今でもTwで「カオスバトル」をネタにした投稿がバズるあたり、特定世代の記憶に強く刻まれているのは間違いないだろう。

 

このカオスバトル、実はうごメモがサ終して久しい現在もYouTubeで新作が投稿されているのだ。今回はそんなカオスバトルの、「うごメモ」時代から現在までの変遷について見ていく。

話が長くなるので、まずはこの記事でDSiのサービス「うごメモシアター」(と3DSワールドうごメモギャラリー」)におけるカオスバトルについて説明し、次の記事で現代のYoutube版カオスバトル事情について見ていく。

 

まずカオスバトルって何よ

って人向けのセクションなのでうごメモ現役世代だった方は読み飛ばして頂戴。

 

カオスバトルとは、これである。

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この謎のグリッドに押し込められているのは通称「カオスキャラ」と呼ばれるキャラクター群で、彼らが自身のセリフを駆使してバトルロイヤルを行うという、今で言うMADムービーの一種である。

見たこと無いという方は、まずはうごメモ時代の作品を見てその空気を感じ取っていただきたい。

うごくメモ帳」はDS専用のアニメ制作ツールであり、今から見れば画質や音質がかなり低く、さらに色数*1や時間*2にも制約があったりと不自由な面も多かった。

 そんな作品をネットに投稿できる「うごメモシアター」は、まさにそういう制約との戦いの場でもあった。

流行り廃れない環境

「カオスキャラ」という概念について。端的に言ってしまえばこいつらは大体「昔のニコニコ動画で流行ってその後忘れ去られた連中」である。

うごメモシアターのオープンは2008年末と、いわゆる「ニコニコ初期」*3と被っている。つまりその当時のニコニコの流行*4が持ち込まれた…というだけではなく2013年のサービス終了までその流行が続いた、というのが「カオス」ネタの特異性である。

その理由としては「シアター運営はニコニコに比べて規制がガバガバ」という事情があると思う。ニコニコにおいてドナルドがなんだかんだ生き残れてムスカ大佐の動画を見かけなくなったのは、それこそジブリが権利者削除の定番であり、過去の動画を鑑みられる機会が少ないからだと言える*5

しかしうごメモシアターでは基本的に権利者が介入するということは少なく*6、「ムスカ出てたから消された」「闇サトシだから消された」といったことは全然なかったのでムスカは常にカオスキャラの常連であり、ドナルドの永遠のライバルであり続けることができたのである。

タイムカプセルと化した「うごメモ

うごメモシアターはネットを活用したサービスであるとはいえ、まだSNSで作品を拡散できるような時代でもなかったので非常に閉鎖的な環境であった。よってその内部の文化も必然的にガラパゴス化していったのだが、カオスバトルの場合は上記の理由でその傾向が顕著だった。

うごメモシアター」が2013年にサービス終了を迎える前まで「カオスバトル」という様式、そして「カオスキャラ」という集団が変わらずに続いたのを見ると、「カオス」はいわば2010年代に差し掛かるか否かという時代を詰め込んだタイムカプセルと言えるかもしれない。

 

うごメモ」「うごメモシアター」の終了後は3DSにて後継サービスの「うごメモ3D」「ワールドうごメモギャラリー」がスタートした。「3D」はDSi版に比べると、画質や使える色が増えたりはしたのだが、再生時間は相変わらず1分で音質も据え置きという性能だった。

もちろん「ギャラリー」でも「カオスバトル」は健在だった。が、ハードが移ったことでクリエイター層も増えたためか、登場する顔ぶれに若干の変化が見られる。当時ニコニコでは「例のアレ」系統のネタが隆盛を迎えており、そっち方面からの参戦が増えてきたのだ。

もちろんこういった分野から登場させるのは色々な意見があるだろうが、新しい素材をどんどん使っていくこと自体は、何も変化しないことよりはいい傾向だろうとは思う。それ以上に気になるのはDSi時代からのメンバーの素材がそのまま、ブラッシュアップされずに流用されている点である。


うごメモ3D 「カオスバトル」「NMCB第4章シリーズ」1

キーボードクラッシャーの画質なんとかしろよ!!!!

とまあカオスバトルの系譜は脈々と受け継がれていった…わけなのだが、「うごメモ3D」のサービスのほうも2018年で終了と、悲しいかなうごメモの文化はついに断たれてしまうことになってしまうのであった。

 

しかし、カオスバトルは死滅していなかった!!

というわけで後半に続きます。

 

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↓面白かったら☆連打!!↓

*1:黒・赤・青の中から2色のみ

*2:音声は1分しか録音できない。映像はそれ以上伸ばせるが、MAD的な物を作ろうとすると使える時間は短め

*3:バージョン名で言うと(ββ)あたり

*4:ただ、もっと正確に言うならばニコニコからYouTubeに転載されたモノが元になっている可能性のほうが高いかもしれない

*5:もちろん動画の絶対数はドナルドの方が多かったし、定期的に新素材の発掘もあったからから人気を維持できていた、という理由もあるだろう。あくまでも一面を見た話。

*6:もちろん視聴者による通報機能は存在していて、権利面での通報も当然可能であった。こっちはこっちで逆にガバガバであり、嫌がらせ目的の通報が普通に通ってしまうという問題があったが…